乱華Ⅱ
突如としてリビングに響いた音。
両手にのしかかっていた重さがフッと消えた。
「ってぇ〜」
そして目の前の男が頭を抱えてソファーに蹲る。
え?何?何事?
何がどうなった?
頭がついていかないんですけど。
私はというと、ソファーに転がったまま状況が飲み込めず、目をキョロキョロと泳がしていた。
「テメェなにやってんだよ!ふざけんのも大概にしとけや!本気でぶっ飛ばされてーのかっ!」
そしてその次に入る聞き慣れた声。
目だけを声がした方へと向ければ、肩をきらせたタクが修と対面している。
あぁやっぱ起きてたんだ。
思っただけで、口には出来なかった。
「いや〜ぶっ飛ばした後に言う事じゃないでしょーよ〜」
さっきまでのヘンな雰囲気を崩して、いつもの飄々とした修はへラリと笑いながら、ソファーから立ち上がった。
「あ?もっかいいっとくか?」
コメカミに青筋立たせて口元を引きつらせたタクは、手をグーにしてそれを修へと見せつける。