乱華Ⅱ
「はっ!?」
なんか知らないけどタクは私の唇からもの凄い速さで指をのけた。
そして顔を真っ赤にしている。
何これ。
面白い。
だからもう一回同じことを口にした。
「だから、キス、したいの?って聞いてんの」
「んなわけねーだろ!バーカっ!!」
「じゃぁなんでずっと唇触ってたの?」
「っそ、れは…」
ジッとタクの目を見れば、言葉を詰まらせながら私から逃げるように視線を外す。
所謂タジタジってやつね。
さっきまで私をシカトしてたくせに。
今は私の言葉にいちいち反応して、顔色まで変えてる。
それが嬉しくって面白くもあった。
「ん?何?」
私は何?と言いながらタクの顔に耳を近づけた。
それに過剰に反応したタクは
「っ口が切れて痛そーだって思っただけだっ!ボケッ!!!」
さっさと寝ろアホと暴言を吐きながら、タクは脱衣所に向かって行った。
…なにあれ。
面白すぎでしょ。
一人残ったリビングで、クスリ意地の悪い笑みを落としたのは誰も見ていない。