乱華Ⅱ
そろそろ行くぞと言う颯人の言葉で、ゲンを後にした私達。
和真さんは片付けもそこそこにゲンを一緒に出て、私たちとは逆方向へと歩いて行った。
てっきり一緒に行くんだと思っていたんだけどな…
和真さんだってもういい歳だし、今から誰かと会うのかもしれない。
そう、彼女とかね。
暫く後ろ姿を眺めて前にいたタクと正宗の方へと駆けた。
「てゆーかさっむ!」
何だコレ!!
寒すぎるんですけど!!
ゲンが暖かかっただけに、地の底に突き落とされたかのような落差。
「…つーかよ、お前のその格好何だよ!?」
私を怪訝な顔で上から下まで見てため息を吐くタク。
それに苦笑いを浮かべる正宗。
白のダウンに、首にはマフラーをぐるぐるに巻いていて口元まで隠してある。
足元はモコモコのブーツ。手には手袋、頭は白のニット帽という完全防備。
多分はたから見たら怪しいだろう。
黒くないのがせめてもの救い?
でもそんなこと今の私には関係ないの。
だって寒いし。
「…うるさいなぁ別に誰にも迷惑かけてないんだからいいでしょ!?」
「いやいや〜お前の格好不審者みたいだわ〜連れて歩く俺の事もちょっとは考えてちょーだいよ〜」
あーウッザ。
にやにやしながら修まで来たし。
そのまま司と颯人と前歩いてればよかったのに。
…早く冬、終わらないかな。