乱華Ⅱ



行きにいろいろあったけどやっと着いた神社は、普段の繁華街の比じゃないほどに人が多かった。




出店が道の脇にズラリと並んでいて、夜だというのに出店の明かりでまるで昼間のよう。



だけど境内で鳴らす除夜の鐘が聞こえて来るから、やっぱり大晦日だなぁなんて思ったり。



すでにお参りする人は参道に並んでいて、その長蛇の列を見ただけで挫折しそうだった。




さすが大晦日と言いたい。


少し歩いたからまだマシだけど、それでも冬の夜。寒いに決まっている。


「お参りする前に何か買っておこうか?」


正宗がニコリとエセスマイルを浮かべ、出店のある方を指差す。



確かにこんなに長い列を待つなら、なにか買っておいた方がいいの…かも…


私のそんな様子を見て察したらしい正宗は、私の手を引いて人混みの中から少し外れたベンチのある場所まで連れて行く。




「ここでタクと待ってて。俺らで適当に買ってくるから」


「え〜俺も〜?勘弁〜」


口ではあーだこーだ言いながら修は正宗に続いて歩き出す。
それに司と颯人も続いた。



その後ろ姿を見つめながら、人混みの中へと進んで行く途中、誰かが乱華の幹部だと気付いたのか悲鳴が聞こえたと同時、道が少し開いたのが見えた。



流石と言うかなんというか…




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