乱華Ⅱ
そこで漸くタクの耳にも彼女達の声が届いたのか、ピクリと反応してスマホの画面から顔をあげた。
彼女達を見ていた私でもわかるくらいに、小さな悲鳴をあげてみるみる頬を赤くする。
…相手が乱華のタクだからだろう。
性格はどうあれ、顔はいいからね。
そして何を血迷ったのか、彼女達は私とタクがいるベンチにまでやって来た。
目は完全にタクをロックオンしている。
女豹とはまさにこの事。
「あのぉ乱華のタクさんですよね!?」
「まさかこんな所で会えるなんてぇ…」
「今日は他の皆さん一緒じゃないんですかぁ?」
さっきの声とは何オクターブ違うんだよ?とツッコミたくなる様な猫なで声を発してタクに媚びへつらう彼女達。
そして私の存在はないものとして扱う。
すごいよねそのスキル。
こんな存在感ありありの(格好をしている)私を無視できるとか。
「あ、良かったら私達とご一緒しませんかぁ?」
「「あっそれいいー!!」」
キャピキャピとはしゃぎながら、3人の中の一人がタクの腕を手に取り、立ち上がらせようとする。
てゆーかさぁ、彼女達にはこのタクのうざったそうにしている顔が見えていないのだろうか?
横から見たらコメカミにすっごい青筋たっちゃってるよ?