乱華Ⅱ
地面に崩れ落ちたせいか、土が服についている彼女はそれを払いのけながら立ち上がった。
そしてタクと私の目の前まで来て、わなわなと震えながらも口を開く。
「なっによ!そんな変な格好の女の何がいーっての!?」
まぁそりゃそーだわ。と心の中で突っ込んでいる自分がいた。
その声に反応し、ギロリと至近距離から睨むタクに後ろにいた2人はもう泣き出しそうになっている。
目が頼むからもう何もするなと前の彼女へと向いているが、怖くて何も言えない様子。
そりゃ暴走族の副総長。
そこらの男の睨みよりは怖いよね。
だけど止めてあげるほど私も優しくはないの。
目の前で喧嘩が勃発しそうなのにも関わらず、私は何処か他人事のように目の前の揉め事を見ていた。この時までは。
「お前連れて歩くより100倍マシ」
「…っ何よ!何が乱華の副総長よ!あんたなんかただのブランドのくせにっ!!」
「あぁ?」
タクが何かを言い出すよりも早く私は身体が動いていた。
なんでかなんて聞かないで欲しい。
だってそうじゃん。
パシーンと乾いた音が空気を震わせた。