乱華Ⅱ
胸糞悪い。
…なんなんだよアレは。
走り去って行く彼女達へ鋭い視線を向ける。
だって一方的に好意を寄せて強引に近づいてきたくせに
自分の理想と違ったからって急に手のひらを返す。
あんなのがいるから彼らは無駄に傷つくんじゃないの。
本当、気分悪いわ。
「やっぱりあれタクさんじゃん」
「あっちには颯人さん達もいたって!」
「マジ?今年最後についてるぅ」
「え、あの変な格好ってもしかして心さん!?」
…悪かったな変な格好で。暖かいんだからほっといてよ。
思考をトリップさせていたが私は最後の言葉をしっかりとキャッチしていた。
どうやら彼女達のおかげで目立ってしまったらしい。
少し辺りを見渡してみればわかる。
本来ならひっそりとしているはずのこの場所に、少し遠目からこちらを伺ういくつもの視線。
「おい。場所変んぞ」
「え、あっ…ちょっ」
私がうんともすんとも言うより早く、私の手を掴み強引に立ち上がらせる。
しかもそのままスタスタと歩き出すもんだから、足がもつれもつれになっていて…
転校初日にタクにズルズルと連れて行かれたのを思い出した。