乱華Ⅱ
石垣に寄りかかっていた背を離し、少し離れた所にある小さなお地蔵さんの元へと歩いて行く。
そこからクルリと後ろを振り返った。
「タク」
「あ?」
「HAPPY NEW YEAR」
私の言葉にチラリとスマホを確認するタク。そして照れているのかなんなのか
「…おめでとう」
ボソッと小さな声で呟いた。
それに小さな笑みを零して、お地蔵さんの前へとしゃがみ込む。
財布から500円を取り出しお地蔵さんの足元へとそっと置く。
そしてゆっくりと手を合わせて目を瞑った。
明けましておめでとうございます。
去年はたくさん楽しい事がありました。
昔の私には考えられないくらいの出来事もいっぱいありました。
今、私は幸せです。
願わくば今年もそうでありますように。
参拝はしなかったから変わりと言っちゃぁアレだけど。
気分だけでも、ね。
隣に気配を感じて見れば、タクも同じようにお地蔵さんに拝んでいた。