乱華Ⅱ
節穴がなんだよ?という顔をしている颯人は無言でさっさと言えよと圧をかけてくる。
まぁ元から話すために言ったんだから言うけどさ、そんな圧かけないでくださいよ…思いながら口を開いた。
「…だってさ、みーんな颯人の事彼氏と間違えてくるもん」
今日行ったショップの店員はほぼ間違えていたし、すれ違う人たちも間違えてたと思う。
本当、面倒くさいったらない。
「あぁ…」
それには颯人もわかってくれたのか、威圧感がなくなり僅かに頷いてくれた。
「だいたいさ?なんで男と女が一緒に買い物来ただけでカップルと間違えるわけ?そりゃお揃いのネックレスしてるけどさ、颯人だけじゃないし。みんなと一緒だし!!
てゆーか目ざとすぎと思わない?どー思う颯人」
いや接客業だから適当に話てるのかもしれないけど、それでも多すぎなんだよ!
テーブルに手をつき、ずいっと目の前の颯人に近づいた。
テーブルに手をついた事でバンッと音が鳴り、他の客からの視線でちょっと勢い余ったな…と思ったけどもう遅い。
息を小さく吐いて、元のソファーへと戻ろうとした時
至近距離にいる颯人は何を思ったのか、
私のハニーブラウンの髪の毛を1束手に取った。
おかげで私はソファーに戻ることはできなくなり、そのまま中腰の状態で颯人を見る。
「…颯人?」
「嫌なのか?」