乱華Ⅱ



耳元で話す颯人にぞくりとしながらも、質問の意味がわからない私は聞き返した。



「…何が?」


「俺が彼氏だったらお前は嫌なのかよ」



少し不満そうに私を射抜く颯人に、慌てて否定をする。



「いや、そうじゃなくてっ!
彼氏じゃないのにそう言われるのが面倒って事っ!颯人が嫌とかじゃないよっ」




「…へぇ。だったらなってみるか?」



「俺のオンナ」と付け足した颯人の声が…



きっとどんな女でも声だけで落とせそうな…


多分今までで聞いた事のないような、低いけど甘い、妖艶な声だったから






「…っ!」



その声を聞いた瞬間、目の前の颯人から思いっきり後ずさった。

私の髪の毛を颯人が掴んでいたけど、気にすることなく後ずさったもんだから、ブチッと何本か抜けた音が聞こえた。




でも今はそんな事どうでも良い。



信じられないくらい顔に一気に熱が集まっていて、自分の顔が真っ赤だという事がわかる。




心臓がありえない音を立ててバクバクとなっている。





< 187 / 200 >

この作品をシェア

pagetop