乱華Ⅱ
耳元で話す颯人にぞくりとしながらも、質問の意味がわからない私は聞き返した。
「…何が?」
「俺が彼氏だったらお前は嫌なのかよ」
少し不満そうに私を射抜く颯人に、慌てて否定をする。
「いや、そうじゃなくてっ!
彼氏じゃないのにそう言われるのが面倒って事っ!颯人が嫌とかじゃないよっ」
「…へぇ。だったらなってみるか?」
「俺のオンナ」と付け足した颯人の声が…
きっとどんな女でも声だけで落とせそうな…
多分今までで聞いた事のないような、低いけど甘い、妖艶な声だったから
「…っ!」
その声を聞いた瞬間、目の前の颯人から思いっきり後ずさった。
私の髪の毛を颯人が掴んでいたけど、気にすることなく後ずさったもんだから、ブチッと何本か抜けた音が聞こえた。
でも今はそんな事どうでも良い。
信じられないくらい顔に一気に熱が集まっていて、自分の顔が真っ赤だという事がわかる。
心臓がありえない音を立ててバクバクとなっている。