乱華Ⅱ
深呼吸をしたいのにうまくいかず、口がパクパクと魚のように開きうまく呼吸ができない。
あんまり意味はないのだろうけど、熱い顔が早く冷めるようにと手で顔を仰ぐ。
えーっと
えーっと…
え?
頭の中はパニック寸前で、今の颯人の言葉を理解しようとするけど、頭がうまく働かない。
「おい。落ち着け」
やけに涼し気な声が聞こえて、私を混乱へと陥れた張本人へと目を向ける。
動揺しまくりの私と反して颯人は、清々しいまでのいつも通りの顔で、タバコに火をつけ吸っていた。
「…冗談だ。本気にとるなバカ」
横を向き白い煙を吐きながら、少し困ったような表情で私を見る颯人。
颯人がこんなに落ち着いているから、私の動揺っぷりが際立って仕方が無い。
…てゆうかあんな妖艶な声出しておいて冗談とか、そんな心臓に悪い冗談やめてくれる!?
いや本気だったらいいとかじゃないけどさ…
目立つわ、恥ずかしいわで颯人への怒りがふつふつと湧いてきた。
「…人をからかって反応見るとか…颯人も悪趣味なことするよね?」