乱華Ⅱ
でもなんで?
彼らが私を追いかけた理由って何?
『さぁ、ね。ま、すぐ探し出されるよ。…ねぇ、ココロチャン』
あの時の河野の言葉が頭を支配する。
ダメ。期待なんてしない。しちゃダメだ。
彼らが私を追いかけたとしても、アイツと結びつけるのはやめろ。
そんなわけない
そんなわけない
そんなわけがないんだ!
そんな都合のいい思いは捨てろ!
「…おい心、お前コイツらに見覚えあんのか?」
画面を見たままの私を訝しんだのか、タクが私の隣に腰を落として肩を掴んできた。
「…いや、ない」
「…」
咄嗟に否定してしまった。
タクが何かを言う事はなかったが、隣からの視線は痛いものだった。
本当は言った方がいいのかもしれない。
…ううん。かもしれないじゃなくて確実に言った方が颯人達が無駄な苦労をしなくて済むんだから言うべきなんだろう。
だけど陽炎じゃないって伝えたら、私の弱い部分が曝け出される気がして。
これ以上揺さぶられたくない。
勝手に期待して落ち込むくらいなら、もう期待なんてしないって決めたのは自分。
「…私ちょっとトイレ行ってくる」
言うべきか否か決めきらずにいた私はこの場に居ることに耐えられなくなり、肩に置かれたタクの手をやんわりと振り払って、そのままソファーから立ち上がり幹部部屋を後にした。
ー結局の所私は逃げてるだけなんだ。