乱華Ⅱ
高層ビルが立ち並び、
人々が忙しなく行き交う都会でも
山々が聳え立ち、星が綺麗に見える自然豊かな田舎ってわけでもない街。
最近起きた事件と言えば、3軒となりの愛犬が1週間脱走したくらい、かな。
そんな平和な街の少し古びた5階建てアパートの3階。
そこに私の家はあった。
玄関を入ってすぐにはキッチンがあって、学校から帰るとそこでいつもママが料理をしていた。
「ママ!ただいまー」
「おかえりなさい。今日は学校楽しかった?」
「うん!あっ!ママクッキー焼いたの?食べてもいい?」
学校から帰ると微笑みながら決まり事のようにされる質問に、私は元気に答えた。
「ふふ。いいわよ。でも先に手を洗ってらっしゃいね」
「はーい」
キッチンの奥にある洗面台で手を洗って、リビングでママとおやつを食べながらその日の出来事を話す。
それが私の小さな頃の日課だった。