乱華Ⅱ



それからはお互いに沈黙だった。
…だって何を話せばいいのか、わからない。



私が隠してるってわかってて、知らないフリしてくれる颯人。



あんな優しい言葉をかけられて、嬉しくない筈がない。でもあの優しさをずっと続けられたら、私はきっと話してしまいたくなる。




それじゃぁダメだ。




缶ビールを飲む颯人の隣に、大人しく座るしかないの。



「…寝るか?」


ビールを飲み終えた颯人が、私に視線を向けて尋ねた。
それに言葉を発せずにコクリ、頷いて朝と同じベットへと行こうとする。




だけど体がツンッと突っ張って、振り返れば颯人が私の腕を引っ張っていた。



「…颯人?」


「…」


颯人は何も言わずに私の腕を引っ張って、ある部屋へと連れて行く。


そこは始めて颯人とここに来た時の部屋。




「ここで寝ろ」


颯人は私の腕から手を離すと、部屋から出て行った。

一瞬ポカーンとしたけど、まあここで寝ろって言うなら私はここで寝るけど。



颯人が一体何がしたいのかよくわからなかった。




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