乱華Ⅱ
「…でねーゆみちゃんが…」
「…あら?」
おやつを食べ終わって、ママに見てもらいながら宿題をやっていると、玄関のドアが勢いよく開いた。
「紗菜、心!ただいま!」
「パパ!?」
玄関からパパがひょっこり現れて、それに驚くのは私だけ。
だってまだ5時にもなっていない時間だ。
「あら今日は早いわね。何かあったの?」
それなのにママは至っていつも通りだった。
「社長が今日はもう上がっていいって言うから。ほらこれお土産だぞ!みんなで食おう!」
パパはリビングのテーブルにケーキの箱を置くと、私を抱きかかえてソファに座った。
「そんな事言って本当は悪い事して、しゃちょーさんに怒られたから帰って来たんじゃないのー?」
にひひ、と笑ながらパパに振り返る。
「パパはそんな事しないさ。心と違うからなー」
「わっ、私もそんなことしないもんっ!」
それにはヤバイ!と慌てて前を向いて顔を隠した。
「えー、この前学校の先生に怒られて図書室に隠れてたのは誰かなー?」
「なんで知ってるの!」
「パパにはなーんでもお見通し!そんな事する子は誰かなー?」
パパはそう言うが早いか私をソファに押し倒して、こちょこちょをしだす。
「きゃあっ!ママたーすーけーてー!」
きゃあきゃぁ叫びながらママを見ると、キッチンでふふふ、と微笑みながら私たちを見ていた。