乱華Ⅱ




後部座席からみんなの走る国道沿いを見ていれば、いつか見た光景が再び現れる。




この前よりは少なかったが、クリスマスイヴだというのにそこには人が群がっていて、ぶっちゃけお前ら他にすることないのかよ!とツッコミたくなった。




だけどみんなこの爆音を撒き散らす光の渦を、恍惚とした表情で見ていた。





「…人、すごいね」


「本当、クリスマスイヴなのにみんな暇だよね」


うん。
本当にね。


正宗はこちらには振り返らなかったからその表情は見えないけど。
クスリと一つ笑みを漏らしたあたり、皮肉を言ったわけではないのだろう。




「…まぁ、それだけコイツらが有名って事だよ」



ハンドルを握ったまま話す梶さんに、コクリ小さく同意した。


正宗達が有名だって事は嫌というほど体験したし。
あの嫌がらせだってそういうことでしょ。




< 38 / 200 >

この作品をシェア

pagetop