乱華Ⅱ




一階の中心にはズラリ並べられた料理。


いつもはただただ、だだっ広いだけの場所。もちろん今はバイクや工具なんて置かれていない。


今日はテーブルにソファーと並んでいた。





そしてそれを囲うようにいる乱華のメンバー達。
一番上座に当たる場所に幹部がいて、司と一緒にそこまで近づく。





「おかえり、心ちゃん」


「…ただ、いま」




ニコリ笑った正宗からのまさかのおかえり。
その笑顔にいつものような裏は見えなくて、これが正宗の本当の笑顔なのかも知れない、と思った。






「心、こっち来い」


「……」


呼ばれるまま、隣に立つと颯人は満足そうにして、口を開いた。




「今日は俺達初代の誕生日でもあり、クリスマス暴走の打ち上げでもある」



颯人の言葉を右から左に流しながら私は別のことに思考をさらわれていた。




だってさりげなく颯人が腰に手を当ててくるから!!
その手がグッと颯人に引き寄せるから!!!



フワっと香る颯人のいい匂い。
近いんですけど!!




この人この間からチョット可笑しくない!?

一体何が何だかわからないまま颯人の挨拶が終わり乾杯となった。




…もちろん私に渡されたのはオレンジジュース。


よくぞ覚えていたね!正宗さん!!!



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