乱華Ⅱ
first
「おい。どこで寝てんだよ。ふざけんな」
「………」
人がせっかくぬくぬくとしていたのに、その声によってそれは阻まれた。
「シカトとはいい度胸してんなぁ」
私を包む暖かい毛布が、この鬼のような男に勢いよく奪い取られる。
「…寒い」
「俺だって寒ぃーわ」
手に持つ毛布を奪い返そうとすれば、しかめっ面のタクが毛布を引っ張って畳み始めた。
「ちょっと!まだ10時じゃん!」
「ふざけんな!もう10時だ!どんだけ寝るつもりだ!!しかもここ俺のベッドだからな!」
「知ってるし。私にベッド使えって言ったのタクじゃん」
「…うるせぇ。さっさとそこからどけ」
タクは怒りながら半ば強引に私をベッドから放り出すと、シーツを新しいのに替えて洗面所に消えてまった。
…主婦かあんたは。
最悪の寝起きのまま、リビングに行くとそこには修がいた。
「…いたの?」
「いちゃワリーのか〜?」
「…いや、っつかあんたもタクも早すぎない?せっかくの冬休みなのに…」
そう。実は昨日から冬休みに突入していた。そして今私がいるのは、いつかのあのマンション。
「まぁ俺は徹夜明けなんだけどな」
「…また?」
「またってなんだよ。またって」
「また、女遊びですか?って意味だよーっだ」
「そこ聞いちゃう?聞かない方がいいと思うけど、どーしてもっ「ごめんなさい。いいです」」
なんか朝っぱらから破廉恥極まりないことを言い出しそうなこの男の言葉を遮り、私は洗面所に逃げた。