乱華Ⅱ
つーか酒くせぇ。
男はどんだけ飲んだのか目は血走ってるし、フラフラもしていた。
「…嫌がってるだろ?見てわかれよ」
「関係ねーだろ!俺はこの女に用があるんだよ」
「…っ触らないでよ!!」
俺の横に回り込み女の手を再び握ろうとした所で、女の手にくっきりと男の手形がついているのに気付いた。
「ッゲホっ…」
「やめろっつてんだろ」
気付いた時には男の鳩尾に一発、拳を叩き込んでいた。
…女相手に何やってんだよ。
こういう輩は好きじゃねぇんだよなぁ。
男はビチャっと吐瀉物を吐き散らし、派手に床に突っ伏す。
「これでわかったかぁ?」
そのまま男の横にしゃがみ込み頭を鷲掴みにする。
ぐったりした様子の男だけど、そんなの関係ねぇ。
「…」
「わかったかって聞いてんだろ。答えろや」
「っハイ!…すいませんでした!!」
答えない男に苛立ち、低い声を出せば、慌てて立ち上がる男はフラフラしながらも、脱兎の如く走り去って行った。
「…大丈夫か?」
くるり、振り返って声を掛ければピクッと動く肩。
…あぁ。怖がらせたか。