乱華Ⅱ
繁華街の1番煌びやかな通りの一角にミリの言うoceanはあった。
電飾で着飾ったような派手な外観ではなく、落ち着いた色合いのシックな外観。
俺にはわからねぇ世界だけど、多分高級ラウンジと思われるそれ。
「…ここで大丈夫か?」
「うん。あ、ねぇ、お礼させてくれない?」
ミリが俺の前に立つとそう言って、上目遣いで見てきた。
ハッキリ言ってこのままホテルに連れ込みたいレベル。
「…お礼?」
「うん。あたし助けてもらったし、その…飲んでかない?」
あろうことかミリは俺をこの高級ラウンジに誘ってきた。
「…俺、未成年だけど〜?」
なーんて。
酒なんて普通に飲むけどねぇ。
断るのはそんな理由じゃない。
ただ俺がミリの“客”になるのが嫌だっただけ。
「あ、そっか!」
「…ん」
「ん?」
「連絡先、教えてちょーだい。んで今日じゃなくて、もっと普通の…昼間にお礼して」
「それもそうだね。じゃぁハイっ」
俺が携帯を差し出せばつられるように笑ったミリも携帯を出した。