乱華Ⅱ
洗面所で洗濯機に洗濯物を詰め込むタクは、実はこのマンションの主。
初めてここに来た時颯人がいたから、てっきりそうだと思ってたのに、どうやら違うらしい。
なんでも颯人はここの鍵も持っているらしく、幹部もよくここに寝泊まりするらしい。
まぁ、ここ学校から近いからね。
そして無駄に広いこのマンション。
リビングと私が寝ていた部屋以外にも2つ部屋があるみたい。
ここに来たのは3回目なんだけど、そういえばタクの親を見たことがない。
仕事なんだろうか?
「…何見てんだよ」
無意識に見ていたらしく、タクは不機嫌そうに腕組みして私を睨んでいた。
「ねぇ、親は?」
「いねぇよ」
「え?1人で住んでんの?」
「まぁな」
「…そう」
それ以上会話は続かなかった。
だって聞いていいのかわからない。
私が言うのもなんだけど、高校生が一人暮らしってあまりないと思う。
それに加えてこの広さ。
絶対にいいマンションだよ、ここ。
「あー…別に親と仲悪いとかじゃないからな?ただ入学祝いに何が欲しいって言われて、その頃まだ反抗期真っ盛りで一人暮らししたいっつったらこーなっただけで…」
私の思考を読み取ったのか、タクがいきさつを説明してくれた。
…けど、タクあんたまだ絶対反抗期でしょーよってのは心の中だけにとどめておいた。