乱華Ⅱ
そのまま正宗はパソコンに向き直ってキーボードを叩き始めた。
カタカタと鳴る音を聞きながら、その横に座り込む。
ここ暑いな。
そういえばミリは今頃男相手に接客してんのかと思うと、無意識にため息が出ていた。
「…何?彼女とうまくいってないの?」
クスリ笑みをこぼした正宗がパソコンから顔を上げた。
ほんっとに、こいつはこんな笑い方しかできないのか。
呆れたような視線を正宗に向けて口を開く。
「…つーか、彼女じゃねぇし」
「…は?」
俺の言葉を聞いてアホ面全開になった正宗の顔は珍しいもの。
いつものエセスマイルなんてどこへやら。そんだけ俺の行動が正宗にとっておかしなモノなんだろう。
まぁ、正宗に限った事じゃないだろうけど。
「彼女じゃねぇ」
まだな、と心の中で付け足しておく。
「彼女でもないのに、他の女切ったんだ?」
「……悪ぃーかよ」
「いや、別に?俺は全然悪くないと思うけど」
「寧ろそれが普通だよね」と至極真っ当なことを言う正宗だが。
お前もどちらかといえば俺と同類だろうとは、あえて言わなかった。