乱華Ⅱ
「じゃぁ、あたしが初めてって事だね。なんかうれしい」
少しブルーになる俺に向かって笑顔でそう言うミリはとても綺麗だった。
顔とかではなく、存在が。
何て事ない顔のままミリはサーモンのマリネを食べる。
嬉しい事を言っておいてこの普通さ。
俺なんか眼中にないって事なのか…?
確かに俺は16でミリは20。
ミリから見たら俺なんかただのガキかも知れない。
ミリが俺に興味なかったとしても、俺は違う。
俺はミリに…惚れてる。
出会って日が浅いとか、そんな事はどうでもいい。
俺は確実にミリが好きだ。
「…ミリは?」
「…ん?」
「ミリこそ、そーいう男、いんの?」
カチャカチャと動かしていたナイフとフォークを止めて俺を見るミリは、きょとんとした顔をしている。
そして、ふふっと笑った後その綺麗な口を開いた。
「いないよ?てかいたら修と会ったり、しないでしょ?」
ね?と俺の目をじっと見て言うミリに、嘘なんて感じなくて
…それもそうかと安心した俺は、そのままミリとご飯を食べた。