乱華Ⅱ
その時、洗面所に置いてある棚に見覚えのあるパーカーが置いてあるのに気付いた。
「……あ」
「…あ?」
それをまじまじと見つめていると、洗濯機から振り返ったタクがちょっと低めの「あ?」を言った。
…なんでそう、喧嘩腰なんだよ!こいつは!!
自分の事は棚に上げて、タクを睨みつけながら口を開く。
「これってあの時の私のパーカーだよね?」
「あぁ。そーだな」
だからなんだよって目で見るタク。
いや、だってあの初めて颯人達に会った時着ていたパーカーがまだあるなんて思わないし。
「…でもシャツはビリビリだったから捨てたけどな」
「…そう」
タクは陽炎の事を思い出したのか舌打ちしながら忌々しげに呟き、洗濯機に洗剤を入れていた。
…でも、思えばあの日の出来事がなかったら、私が陽炎から狙われる事はなかったんだよね…
だけどそうだとしたら、私はこいつらとも出会ってなかったと思うから、
今こうして私がここにいるのは、ある意味偶然が重なった奇跡のような出来事なんだ、と改めて思ったり…
最悪だけど最高の日でもあったなぁ…なんて…
そして、ふと思い出した。