乱華Ⅱ
繁華街を抜けた先にある、少し寂れたそこ。
人気はあまりないが、別にやましい事をしにここに来たわけではない。
目的のものを見つけ、ミリと繋ぐ手はそのままに立ち止まった。
「修?」
少し困惑したミリの声。
街灯が少ないここでは、ミリの表情はあまり見えなかった。
「ミリ、海行かない?」
「…修、それ」
「うん、俺のバイク。乗れる?」
バイクをミリに見せて海へと誘う。
このバイクは免許取って初めて買ったやつで、黒に炎のような赤いラインが入ったバイク。
「え、すごい!!乗りたい!」
年上のミリの弾んだ声に頬が緩む。
バイクに女なんて乗せたことないし、乗せるつもりもなかった。
だけどミリには俺のバイクを見てほしくて…乗って欲しくて…
あーダメだ。
「…修?」
「…少し、このまま」
ヤバイ。
ミリを強引に自分の腕の中に収めた。
なんでこんなに好きになった?
俺とミリの間にそんなに好きになる出来事があっただろうか?
いや、ない。
でも俺はミリが好きで、そのミリが今腕の中にいる。それだけで胸がドキドキと高鳴った。
フワっと香る甘い香り。
頬に当たるミリの柔らかい髪の毛。
「ミリ」
「…んー?」
「…好きだ」