乱華Ⅱ




こんな、今日初めて会った女の言葉を誰が信じるって言うんだよ?



だけどその言葉は俺には何の意味も持たないはずなのに、心は無情にもキリキリと痛み出す。




女は可哀想、と言いたげな瞳をして俺を哀れむ。



やめろ。
やめてくれ。
そんな目で俺を見るな。



ミリが俺の前から消えるなんてありえないだろ…?
だってそうだろ?









「…っ俺は信じねぇ。お前の言葉なんか」



「……どうぞご自由に。だけどあなたみたいな可哀想な男の子、私は何人も知ってるわ」



ふふ、と笑い哀れんだ顔をする女。
それだけで俺の中の何かがキレた。




「うるせぇっ…黙れ」



力任せに拳を振う。

女の顔スレスレを通り俺の拳がoceanのある壁にぶち当たった。




ガッと鈍い音がしたけど、女は顔色一つ変えずにoceanの入り口へと体を向ける。









「まさか、あの乱華のプレイボーイをミリが弄ぶなんて誰が思ったかしら?」



感情のこもらない声で言って、女は店内へと続く階段を登る。





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