乱華Ⅱ

fifth





「っ…ガハっ」


「…おい、もう終わりかよ?」



煌びやかな繁華街。
そこで繰り広げる一方的な暴力に、周りの奴らは足を止めることさえしない。



それどころか、自分は関係ないと言わんばかりに目をそこから逸らし、早足でその場を立ち去る。





…くだらねぇ。





「…すいま、せん…」



「は?聞こえねぇよ。お前が売った喧嘩だろ?」



蹲る男を無理やり立たせて、みぞおちに一発拳を打ち付ける。


すると男は声にならない声を上げてその場に倒れこんだ。




「チッ…弱いくせに喧嘩なんかふっかけてくんなよ」




男の背中に足を乗せ、捨て台詞のように言葉を吐く。


そしてその乗せていた足を持ち上げて、思い切り後ろに引いた。





本当、くだらねぇ。




この喧嘩を売った男も



見て見ぬ振りする街の奴らも





…この俺も




全部、全部





くだらねぇよ。




「くたばれ…クソが」


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