乱華Ⅱ
あれから1月近く過ぎた。
秋だった季節もすっかり冬になり、後少しでクリスマスという頃。
街は一気にクリスマス一色で、街に流れるクリスマスソングがやたらと耳についた。
だけどミリが戻ってくる事なんてなくて。
それでも繁華街は変わらないし、乱華の奴らも、学校も何もかも変わっていない。
それでも、時は移ろいで行く。
まるで彼女が初めから存在してなかった様に。
俺はといえば、こうやって喧嘩に明け暮れる日々。
ほぼ意識のない、無抵抗の男。
その横っ腹目掛けて動かした足は、そいつに届く事はなかった。
「修、やめろ」
何故なら俺の足は、俺とその男の間に割って入った第三者の足によって止められたから。
「……颯人」
「もうやめとけ。意識ねぇだろそいつ」
颯人は鋭く射る様な目を、蹲ったままとうとう意識を飛ばした男へと向ける。
その眉間には深いシワが寄っていて、
俺と颯人の周りを殺伐とした空気が包んだ。
「…チッ」
思わず舌打をして足を地面へと戻した。
しかしすぐに静まり返ったここ一帯が、バタバタとうるさくなっていって
「颯人!修は見つかっ…た」
少し息を乱した正宗が道の曲がり角から姿を現し、俺を見て目を見開いた。
あーあ。
本当、うまくいかねぇなぁ…