乱華Ⅱ
忘れたいのに忘れられない。
なんだよこの拷問。
探さなかったのか、なんて愚問。
俺は血眼になってミリを探した。
それこそ何も言ってなかった正宗達まで巻き込んで。
それなのに…
彼女は見つからなかった。
ミリが勤めていたoceanに正宗にハッキングしてもらい、ミリの事を調べたがそこにある履歴書が偽物だって事がわかった。
そしてハッキリとわかったことは、“ミリ”という女がこの街に存在しない事。
あの黒髪で青い瞳のミリは存在しない。
もう意味がわからねぇ。
ミリがなんで消えたのか。
なんで、何も言わなかったのか。
本当は理由があるんだろ?
そんな考えが頭の中を占めて、夜もロクに眠れねぇ。
ハッと乾いた笑いが漏れたが、颯人も正宗も何も言わない。
ただ黙って俺の動向を探っている。
喧嘩してる時が唯一、無になれた。
ミリの事を考えなくて済む。
本当はわかってる。
きっと頭の何処かではわかってたんだ。
あれから1ヶ月近く経つのに、何の音沙汰もないってのはそういう事だって事。
…あのサラとか言う女の言う通りだって事。
だけどその事実を理解したくなくて、
受け入れる事がができなくて…
まともな別れをしてない俺は前に進むことさえもできない。