乱華Ⅱ
繁華街の通りで忙しなく歩く人達。
周りは俺たちをないものとして、素通りして行く。
気づいた時には蹲っていた男は、乱華の連中が手当てして連れて行かれていた。
そして俺達だけが、いや、俺だけが時が止まったかのように動かない。
颯人はタバコを口に咥えて、鋭い目をしたまま俺に意識を向けていて
正宗は携帯片手に誰かと連絡をとりながらも俺を見ていた。
「…ミリ」
ポツリ呟いた俺の声は白い息と共に、冷たい空へと溶けて消えた。
今何してんだよ。
お願いだから俺の前に戻って来てくれ。
戻って来て笑って「ごめんね」って言ってくれたら
それだけで全て許せるから
だから…
お願いだから
戻って来てくれ。