乱華Ⅱ
一気に頭の中が真っ白になった。
だけど体だけはどうにか反応していて、パッと勢い良く後ろに振り返る。
「おいっ!?しゅ…」
俺の背後でタクが慌てた様な声で言ったが、この時そんなものは俺の耳には届いていなかった。
ドクドクと心臓の音だけが響いていて
やけにスローモーションに感じる。
ただ目に映る綺麗に巻かれたその黒髪だけを見ていて、
パシンッ!
俺の手がその子の肩に触れた時、やけに乾いた音がその場に響いた気がした。
「キャッ…」
小さな悲鳴と共に振り返る。
その綺麗な黒髪がパラパラと宙を舞い
元の位置に戻る頃
青い瞳と視線がぶつかった。