乱華Ⅱ
俺に肩を掴まれたままのミリは、微動だにせず俺とタクからの視線を浴びていた。
俺の心臓はやけに早く、一瞬で口の中がカラカラに乾燥する。
顔は変わってないのに、服装や雰囲気がガラリと変わったミリに、俺はかなりの動揺をしていた。
言わないといけない事、聞きたいことは山程あるのに、それが言葉として出てこない。
それを見兼ねてか、痺れを切らしたかのように、タクが口を開いた。
「テメェ、何か言う事ねぇのかよ?」
タクは腕を組み、ミリを眼光鋭く睨みつけたまま。
あからさまに低い声は、それだけでタクがどれ程不機嫌なのか伺えた。
ミリはそれに答えるつもりがないのかなんなのか、ただ視線を床へと向けている。
「ミリ…」
俺の口からやっと出た声は、自分のものとは思えない程に弱々しいものだった。