乱華Ⅱ
それにミリはやっと反応してくれたらしく、徐々に顔を上げる。
だけどどこか様子がおかしい。
ミリの肩を掴んだ手に伝わる振動。
小刻みに揺れるミリは
「ふふ…」
あのリンとした声が聞こえたかと思えば、何がおかしいのかあはは!と笑い出した。
「…」
「おい、何笑ってんだよ!」
タクの怒鳴り声で、周りの人達が何事かと振り返るが、そんなものはどうでもいい。
今、何が起こっている?
オカシイくらいに笑うミリは、俺の知っているミリじゃない。
一頻り笑ったミリは、やけに冷めたどこかバカにした様な顔をして、あの鈴の鳴る音色で言った。
「まさか、あたしの事探してたの?」
バッカじゃないの、と付け足したミリが…
その冷たい声が、その表情が、その全てが。
俺をどん底へと突き落とした。