乱華Ⅱ
「けっ…こん…?」
もう何もかも、意味がわからない。
俺が遊ばれた?
あの好きだと言ったミリは偽物で、それさえも嘘だと言うのか…
あの時、助けてくれて嬉しかったと言ったミリも…
借金取りが家に来るから迷惑かけたくないと言った時の寂しそうな顔も?
俺の腕の中にいた幸せそうなミリも
全部、全部嘘だって言うのかよ…!
俺は戻ってきてさえくれれば、それでよかったのに。
そうしたら笑って許せたはずなのに…
「…そう。あたし結婚するの。
修とはもう終わったのよ。
あなた、手早いって聞いてたのに、なかなか手出して来ないんだもの。焦ったわ」
クスクスと笑いながら、まるで種明かしだと言わんばかりに喋るミリは、それさえも許してくれない。
「それに修、女関係切ったでしょう?
あたしの所に来てうざかったわ。
まぁ、みんな返り討ちにしたけど」
ドス黒い笑みを浮かべて、綺麗な顔に似つかわしくない残酷な言葉を次々と述べる。
そこに俺が知るミリはもういない。
…いや、最初からそんなオンナは存在しなかったのか…
「チッおい、修もういいだろ。こんなクソ女!帰るぞ!!」
胸糞悪ぃと俺の腕を引っ張るタクを遮った。