赤い扉(ホラー)
ホッと息が漏れる。


「国方、こっち照らして」


サヤカが職員室のブレーカーをいじりながら、そう言う。


「何よ、携帯持ってないくせに」


ソラが見えないと思い、国方へベェと舌を出す。


りえはそれを止めて「ダメ」と一言。


国方の家庭の事情を見ていると、携帯を持っていないのもよくわかる。


それに、国方は言っていないが、郵便配達をしているのは毎月親戚にいくらかづつ渡すためだろう。


しばらくすると、チカチカと蛍光灯が瞬きをして、あたりが明るくなる。


「よかったぁ、びっくりした」


と、微笑むソラ。


りえも微笑み、携帯をポケットにしまう。
< 136 / 244 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop