赤い扉(ホラー)
サヤカは無言のまま女の子を見つめる。


次の瞬間。


山積みになっていた机が何かに弾かれたようにガタガタと音を立てて崩れ始めた。


強く息を飲み、口に手を当てるサヤカ。


崩れ落ちた机の向こうから、真っ赤な扉が現れる。


女の子はその扉へ向けてかけだし「ママ」と呼ぶ。


サヤカは震えだす手を押さえながら、その扉から徐々に離れていく。


この扉に近づいてはいけない。



そんな直感が働いたのだ。


「ママ」


女の子がもう一度呼ぶと、ギィィと嫌な音を立てて、その扉は開いた。


中から、影として一瞬見えた、あの髪の長い女がゆっくりと姿を現す。

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