赤い扉(ホラー)
けれど、返事はなく、ただ波の音がやけに耳に付く。


「ソラ……」


呟き、りえと国方は何か妙なものを感じて目を見合わせた。


ゆっくり、顔を上げるソラ。



両目を見開き、りえをしっかりと捕らえている。


一瞬、体が動かなくてりえはソラに腕を掴まれる。


「りえちゃん! ふりほどけ!」


国方がこちらへ走って来ながら怒鳴るが、まるで体が動かない。


ジッと見つめてくるソラの瞳を見つめ返し、そのまま沈黙が続く。


その時、ソラは口を開いた。


「ごめんね」


意外なその言葉にりえは目を見開く。
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