赤い扉(ホラー)
それに、今の声、生前の母の声そのものだった。


「ごめんね、りえ」


優しく、りえを包み込むような母親の声に、りえはいつしか恐怖を忘れ、懐かしさまでがこみ上げてきていた。


「お母さん」


呟くように、ソラへ向けて言う。


ゆっくり、ソラがりえの頭を撫で、そして体を抱きしめた。


りえは目をつむり、母親を思い出す。


暖かくて優しくて綺麗で、少しおっちょこちょいだった所がかわいらしくて……。


そうしていくうちに、りえは自然とソラの体を抱き返し「お母さん……」と呟いていた。
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