赤い扉(ホラー)
ただ、一人、りえがこの場に立ち尽くしているのだ。


その時、不意にどこからか話し声が聞こえて来る。


若い人の声だろうか?


やけに嬉しそうな声で、男と女のものらしかった。


その声は徐々に徐々に近くなり、そして、あの急な階段からその人物は姿を現した。


白いスカートにピンクのタンクトップを着た女と、ジーンズにTシャツというラフな格好の男。


男は女の手を取り、「気をつけて」と言いながら階段を下りてくる。


りえは見覚えのないその二人に首を傾げた。


砂浜に下りた二人が、まるでりえなんか見えていないように歩き、少し離れた場所で立ち止まった。
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