赤い扉(ホラー)
りえはそう言って、ソラの体を離す。


それと同時に、ソラが崩れ落ちた。どうやら気を失っているらしい。


「ビックリしたよ、二人とも抱き合ったまま動かないし」


国方が、ソラを岩の上に寝かせながら、りえに言った。


「そう……」


りえはもう一度先ほどのことを思い出す。


あれは夢じゃなかった、現実にここであった事を見せられていたのだ。


瞬時にそう思っていた。


だとしたら、この場所は母と父の思い出の場所。


だから、この砂浜へやってきたとき、国方とは違う懐かしさを覚えたのか……。


「私、ソラを抱きしめながら若い頃の親に会ったわ」


「え?」
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