赤い扉(ホラー)
ここにくれば何かがわかると思ったのだが、りえは肩を落として病室を出ようとした。


その瞬間聞きなれた声が「りえ」と名前を呼んだ。


振り返り、りえは目を見開く。


「お母さん」


ようやく、目の前に母親が姿を現してくれた。



先ほど見た悲しい表情ではなく、穏やかな母の顔。


「色々とやってしまってごめんなさいね」


小首をかしげ、許しをもらうように言う伸江。


「じゃぁ、やっぱりお母さんが?」


「えぇ。どうしても伝えたい事があって、けれど、お友達をあんなに驚かせるつもりじゃなかったのよ。


町の人たちまでいなくなってしまって」
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