赤い扉(ホラー)
それは、母親が死ぬ数時間前のことだった。


いつものように、いつもと同じ時間に勇気とりえを送り出す伸江。


けれど、どこか体がダルクて、とても家事をやろうという気にはなれなかった。



最近はそんな日が続き、伸江も病院へ行こうと思っていたのだが、なかなか時間がとれずにいた。


伸江は食卓の椅子に座り、大きく息をつく。


壁に安全ピンで刺してあるカレンダーに目をやり、指折り数えてみる。


「まさか……ねぇ」


伸江はもう45歳で、若くはない。


けれど、まだ生理はあった。


最初は体のだるさが更年期のせいだと思い込んでいた。


そして、そのせいで生理が止まってきているのだと……。
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