赤い扉(ホラー)
未来がりえと伸江の足につかまり「未来もまぜて」と言う。


三人の影が、一瞬だけ重なる。


けれど、すぐに伸江と未来の姿はなくなった。


弾かれたような光と共に、病室に柔らかい風がフワリと舞う。


りえは、自分でも気付かないうちに次から次に涙が出てきていた。


自分の母親はただそれを伝えたいがためにここまでしたのだ。


国方達に説明したら、信じてくれるだろうか?


私に妹がいたこと。


「りえ?」


その声に、りえはハッとして振り向く。


今まで眠っていた勇気が目を覚まし、病室をキョロキョロと見回している。


「お父さん!」


りえは思わずそう叫び、勇気に抱きついた。


一日ほどしか経っていないのに、勇気の匂いが妙になつかしくて、嬉しくなる。


その瞬間、一瞬だけ感じる、潮の匂い。


「りえ、お父さん夢の中でお母さんと思い出の場所に言ったよ」


「え?」
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