赤い扉(ホラー)
「キス。この男としたなら私とも出来るでしょ?」


真剣な表情のソラに、りえの顔からも笑みが消える。


「まさか、そんな……」


わざと明るい表情にしようとするが、ソラの目がそうさせない。


「目、つむって」


有無も言わせないソラの声。


りえは思わず唾を飲み込み、ギュッと目を閉じた。


その瞬間、口に触れる微かな柔らかさにビクッと体を硬直させる。


「りえ、勝手に他の人とキスしたら絶対に許さないからね」


まだ目を閉じたままのりえに、突き刺さるように言うソラ。


そっと目を開けると、そこにはいつもと変わらぬ様子のソラがいた。


「うん……」


りえは思わずそう頷き、三人は午後の授業が始まるチャイムにも気づかなかった……。
< 23 / 244 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop