赤い扉(ホラー)
一瞬飛び上がり、それから「どうなってんだ」と呟く国方。


「確かに、鍵はかけましたよ?」


後ろから、安田が声をかける。


じゃぁ、何故あくのか……。


国方は、恐々と扉に近づき、音を立てないようにそっと開けた。


その瞬間、信じられない光景が飛び込んできた。


そこにいるのは、未来でも伸江でもなく、紛れもなく校長と、先ほど自分たちに説教していた戸田だったのだ。


国方の後ろから、三人もそれを除きこみ、驚きに口を塞ぐ。


静かにしていると、校長と戸田は気付いていない様子でささやき声がこちらまで聞こえてくる。


「校長、生徒がきますよ」


そう言う戸田は、いつもの硬い教師ではなく、校長を誘うただのメスと化していた。
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