赤い扉(ホラー)
しばらくの間、誰もいない部屋の中立ち尽くす。


事故……、お父さんが……交通事故。


何度も頭の中で先ほどの電話の内容を繰り返す。


「……大変!」


ようやく、内容を理解できたりえは、慌てて洗面所へ向かう。


「えっと、下着とタオルと洗面具と……」


いちいち一個づつ口に出して確認しながらじゃないと、何を準備すればいいのかわからない。


それでも、何とか勇気の荷物を準備して、作っておいたサラダにラップをかけて冷蔵庫に入れる。


こんな時でも、節約のためにテレビなどのコンセントも忘れずに抜くところなど、本物の主婦のようだ。


「りえ!」
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