赤い扉(ホラー)
「何よ。そんなのじゃないわよ」


「あら、そう? じゃぁ国方が女子生徒に囲まれてても平気なんだ?」


「平気。だって、別に気にならないもん」


「ふぅん? 何せあいつプレイボーイだからなぁ、何人手玉に取ってるかなぁ」


言いながら、わざと指折り人数を数え出す。


りえはそれを見ながら「本当に違うの! ただ、三年で転校してくるって珍しいし……」


「あぁ。そりゃ仕方ないよ、色々事情があるんだから」


「事情……」


「あんたに母親がいないのと似たようなもんだね」


「ふぅん」


なんとなく、りえは頷いてそれから「お風呂行く!」と、立ち上がる。


さやかは風呂場へ向かうりえを見ながら「若いっていいねぇ」と呟いたのだった……。
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