赤い扉(ホラー)
それ所か、まるでみんな生気を失ったようにただゆらゆらと砂浜を歩き回るだけなのだ。


「誰も口きいてくれないね」


その時、女の子が始めて口を開いた。


幼い声で、嬉しそうにキャッキャッとはしゃぎながら。


りえは、思わず女の子の手を振り払った。


女の子が、ジッとりえを見つめる。


りえは、その場にいてもたってもいられなくなり、砂浜から道路のある方へと駆け出した。


少し行けば、すぐに民家が現れ、りえはホッと胸を撫で下ろす。
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