赤い扉(ホラー)
けれど、歩いても歩いても、どの家にも灯りがともっていないのだ。


誰もいないのかと不安を覚えながらも、りえは一つの家のベルを鳴らす。



ジリリリ。


けたたましいほどのベルの音が、暗闇に響き渡る。


しかし、家の中から誰かが出てくることはなかった。


次の家も、次の家も。


ベルだけが空しく響くだけ。


それに、何件かまわっているとりえは妙なことに気がついた。


家のドアの色が全部一緒の赤なのだ。


それも、明るい赤ではなく、どす黒い血のような赤……。
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