赤い扉(ホラー)
汗が頬につたい、安田はそれを手の甲で拭った。


教室はそれほど暑いワケではないのだが、安田の体温は急上昇する。


なにせ今日はB組とC組の共同授業が午後から行われていて、憧れのソラが間近にいるのだ。


しかも、準備室でのことがあってから、たまに向こうから声をかけてもくれる。


安田にとってこんな事生涯に一度あるかないかの出来事である。


「はい、次に植物のスケッチをしましょう」


理科の教師がそう言い、生徒達は大学ノートを開きペンを取る。
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